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> 『屋根の上のヴァイオリン弾き』 ちょっと空回り…?
おととし一度観ただけなのですが、えらくじーんときてしまって、東京凱旋公演を楽しみにしていました。幕が上がって間もなく、「♪しきたり~~ しきたりっ!」の合唱が始まったとたん、「うわ~い、やっと再会できたよ」と客席で歌いたくなっちゃったほど(←実際には歌ってないですよ)。

市村テヴィエの奥さん・ゴールデのほか、娘たちも新キャストです(でも四女は前回と同じかも)。今年はどんな家族になってるのかな? パーチックも去年とは変わって吉野圭吾さんになったけど、次女とのカップルはやっぱり絵になるかしら? にまにましながら進行を見守りました。

だけど、う~ん、観ているこっちが意気込みすぎたのかなあ。ゴールデと娘たちの会話がやや固いような。お見合いおばさんのイェンテ(これは去年と同じ杉村理加さんよね)の登場で、初めて舞台が息をふきかえしたような気がしました。彼女、ほんとうに上手い! むかし、マダムテナルディエを演じたこともあるんですね。

長女・ツァイテル役の匠ひびきさんは、普通にしゃべってるときと、踊りの場面とで全然違って見えるので驚き。型にはまったような「いい子の長女」を演じていたと思ったら、踊りだすと急にイキイキしてくるんだもん。アナテフカ駅での剣持たまきホーデルは、なぜか歌ではなくて、別れ際に「パパ!」と叫んだところでぐっときた。三女の安倍麻美チャバは声が元気で愛らしい。でも、もうちょっと内気な読書家になってほしかったかもよ…。

市村テヴィエは、アドリブが増えたのでしょうか。確かにテヴィエはコミカルな一面を持っているだろうし、自分も結構笑わせてもらったんだけど、お芝居の筋とは関係ない一言で笑いをとる回数が、やや多すぎのように思えました。前回は、市村さんの軽やかな語り口とシリアスな心情表現とのバランスがとても良かったように記憶しています。存分に笑いつつ、真剣な場面ではしっかり感動させてもらって、舞台にメリハリがありました。だから今年はちょっと残念。お客さんへのサービス精神が旺盛なのは、いいことなんだけどね。

というわけでテヴィエ一家は、お父さんもお母さんも娘たちもそれぞれ頑張っていたんだけど、自分が観た限りでは全体的に空回りしてしまった感がありました。でも、これはあくまで前回と比較しての話。今年が初見だったら、それなりに感動していたでしょう。

そんな中、うっとり見とれてしまったのは吉野パーチックね。2003年『レ・ミゼラブル』のABCカフェで目が血走っていた、あのアンジョルラスを彷彿とさせる美しき熱血漢でした。パーチックは革命を目指す学生ですから、「資本家を信用しちゃいけないよ」とか「思想を吹き込む」とか、がちがちのイデオロギー丸出しのセリフもあります。普通なら聞いててうさんくさい感じがしそうなものですが、吉野さんにかかると、つい耳を傾けたくなってしまうのは、どうしてでしょう。見た目が麗しいって、どんな過激な思想より危険なことかもしれないわ…。

でも、パーチックとホーデルが恋に落ちる瞬間は、予想してたほどドラマチックじゃなかった。きれいな顔した二人、お互い熱烈に見詰め合って惚れてしまうんだろうなと思ってたけど、どきどき感があまり伝わってこなかった…。どうしてかな。

期待が大きすぎたせいで注文も多くなってしまったのですが、次回、もっと練りに練った作品になってまた観られる機会がくることを心待ちにしています。これから何年先も、ずっと観たい演目だもんね。
by redandblackextra | 2006-02-28 00:37 | そのほか

観劇と読書が好き。いや、ほかにもあるかな。当面の間は、ぼちぼちマイペースで更新します。
by redandblackextra
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