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> 『トーチソングトリロジー』 もう一度、だれかと深く関わりたいと思う
概要は こちら から  あらすじ・キャストなどは こちら から

公演案内を見たときから「きっとこの舞台、好きになる」と思っていたけど、ああ、やっぱり良かったわ。人を好きになるうれしさ、失う痛み、傷を癒す優しさ。真剣に誰かを想うがゆえにふりかかる悲しみと喜びを、トーチソング(「感傷的な失恋の歌」という意味だそう)の調べとともに、心の深いところから思い起こさせてくれる。

I love you, but not enough.
愛してる、でも、十分じゃ…ない。

劇中で何度も出てくるせりふだ。主人公のアーノルド(篠井英介さん)は、「誰かに心から愛されたい」といつも一生懸命。なのに、交際して数ヵ月の恋人エド(橋本さとしさん)に捨てられてしまう。その後、自分を求めてくれる少年アランに出会い、幸福な日々を得たけれど、それも永遠ではなかった。ゲイという生き方を認めない母親とも分かり合えない。

だけど彼は一人ぼっちではなかった。物語の終盤、失意の底から抜け出せないアーノルドにそっと寄り添ったのは、彼が養子として迎えた少年デイヴィッドと、かつての恋人エド。二人とも、生きていくうえでアーノルドの存在が必要だと言って、離れようとしない。彼らの強い絆は、まるで家族そのものにみえた。

3人の新しい関係の芽生えを感じさせながら、静かに舞台の幕は下りる。常にだれかからの愛に飢えていたアーノルドは、大切な人を失う悲しみをくぐるうちに、いつしかだれかに愛を与える存在に成長していたのかもしれない。

忘れたとはいっても、別れの傷がうずくことはある。始まりの予感があっても、もう戻らない人への恋しさは消えない。正直に生きる自由だって、孤独と表裏一体だ。真剣に愛したからこそ残るつらい記憶を抱きしめながら、それでもやっぱり、人とのつながりを求めてやまないアーノルド。ひとり黙ってトーチソングに身をゆだねている姿に、なぜだかじんわり涙がわいた。

東京公演は12/7(木)まで。そのあと全国公演。レミゼと同じくらい、たくさんの人に勧めたい舞台だ。特に、人との関係で傷を抱えている大人に。他人に対して必要以上に警戒心を働かせてしまうわたしだけど、観終わったあと、「もう一度、だれかと深く関わってみようか」という気持ちにさせられた。5年か10年してまた再演に出会ったら、どんな感想を持つだろうか。だれかと“十分な”関係を築いているだろうか。
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by redandblackextra | 2006-12-04 03:08 | 舞台にまつわる話