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> 『ファントム』 親子愛よりクリス愛?
(つい長く書いてしまった。 あらすじなどは こちら

今日は宝塚の日でしたの♪ (普段使わない♪なんて記号まで使っちゃうぞ)
花組の『ファントム』です。2年前に宙組の初演を観たときは、和央ようかさんのビジュアルの完璧さに、ぽーっと心持ってかれてしまいました。今回は春野寿美礼さんということで、スターらしい端正なたたずまいに期待。ヅカファンの知人からは「歌がうまい人なんだよ」と聞き、さらにわくわく度が増したのでした。

ファントムの存在感は、幕開けから際立ってましたね。芯があって強い声。歌詞も明瞭。そしてダンスのキレが抜群で美しいんだもん。真ん中で注目を集めるにふさわしい姿です。だけどほかの出演者をつぶすような圧迫感はなくて、あくまで作品の中に生きています。

続いて、歌姫クリスティーヌ(桜乃彩音さん)がパリの街角に登場。しかし… これ、「音楽には目がない」というオペラ座のパトロン・フィリップ伯爵が惚れるほどの声だろうか? か細くて、音はぶつ切り。純真なイメージは合っているんだけど、歌の技量が役の設定からかけ離れているので、まいりました。「こりゃ、近いうちに四季の『オペラ座』観に行って、口直ししなきゃ」と思ったほど(すいません…)。これ以降の場面でも、クリスティーヌの歌が始まるたびに現実に引き戻されてしまったのですが、2幕になると印象が変わりました。それについては後ほど。

今日、初めて涙が出てきたのは、フィリップ伯爵とクリスティーヌの親密な様子を目撃したファントムが歌いだしたときでした。クリスティーヌという心の支えを奪われた悲しみが夜のパリの空にぶちまけられ、虚しく消えていきます。春野さんのソロ歌とバックダンサーだけの簡素な場面なのに、ぎゅーっと胸がしめつけられました。…でも、実は歌そのものの記憶があいまい。「♪ ドレミファソ ファレファミ」と同じメロディーの歌だったっけ?

わたしの中でクリスティーヌが化けたのは2幕、ファントムの生い立ちを知ってからでした。それまでは「音楽の先生」を慕う頼りなげな少女だったのが、いつの間にか母親のような慈しみを彼に見せるようになるのです。語りかける口調や表情が、優しくファントムを包んでいる。その演技が、まったく作り物にみえませんでした。桜乃さん本人の個性なんだろうか。だから、ファントムに「仮面を取ってほしい」とせがむ様子も、わざとらしくありませんでした。「愛があなたのお母さんにそうさせたのなら、わたしも同じようにするでしょう」なんていうクサイせりふも、彼女が言えば本心から出た言葉に聞こえます。

こんなに献身的な愛を捧げられれば、かたくなだった怪人の心も溶けていくというもの。そしてとうとうゆっくり仮面を外します…。が、その顔を見たクリスティーヌは思いもかけず、恐れおののいて逃げ出してしまうのです。

裏切られてまた独りになったファントム。天と地を裂くような絶叫に、第2の涙が走りました。「ぎゃぁあああーーーーーーーっ」と、どちらかといえば美しくない声だったのですが、それだけ生々しい感情が血のように噴き出ていたというか。客席の空気までが、音を立てて軋んだような感じがしました。

さて宝塚の『ファントム』の見どころとしてはほかに、ファントムと父親との親子愛があります。クライマックスは銀橋で二人抱き合う場面(と、最後の場面か)。2年前はここで泣かされたな。もちろん今日も客席のあちこちからすすり泣きが聞こえました。でも今回、わたしは淡々と観てしまったんだよね。演技は丁寧だと思ったのに、なんでだろう。お父さん役の人が若々しすぎたのかな? 春野さんが「おとうさん」と呼びかけるのも、ちょっと違和感覚えました。

そういうわけで、親子愛というよりはクリスティーヌとの愛が色濃くみえたのが、わたしにとっての花組『ファントム』でございました。これを書いてる今も、二人が歌う「♪ You are Music」の甘い旋律が何度も頭に浮かんできます。

四季版(ALW版)とはファントムの描き方がずいぶん違うのね。四季だとクリスティーヌが「♪けがれは心の中に」と歌うことで分かるように、愛ゆえに暴走するファントムの心の暗部が目立っています。いっぽう宝塚版だと、母性を求める無垢な心が前面に出ていたような気がしました。宝塚ファントムの顔が、人を遠ざけるほどの傷を隠しながらも十二分に美しくみえるのは、彼の内面を象徴しているからなのかもしれません。
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by redandblackextra | 2006-09-17 01:18 | 舞台にまつわる話

観劇と読書が好き。いや、ほかにもあるかな。当面の間は、ぼちぼちマイペースで更新します。
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