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> 『LOVE LETTERS』  野沢那智×池田昌子
あらすじなどは こちら

今回の二人については、声優界の大御所であるということしか知りませんでした。これまで観た『LOVE LETTERS』はほとんど20代か30代の役者さんばかりだったので、一度はベテラン役者さんで観てみたいと思ったのが、この組み合わせを選んだ理由です。

意外なことに、野沢アンディが客席の笑いを何度もとってました。この作品を初めて観るお客さんが多かったのかな? 幼いころのアンディはやや舌っ足らずのおどおどした声。メリッサに宛てた大真面目な手紙を軽くあしらわれると、ガクっとうなだれてみせたりするのですが、それが面白く映ったみたいです。もっとも、わたしは一度も笑わなかったのですが。

大人になってからの秘密の関係がマスコミに漏れたあと、取材の電話攻勢にうろたえるメリッサに対してアンディが「無視」、「無視」と繰り返すところ、ここでもなぜか「あはは」という声が挙がってました。うーん、ここで笑っちゃった人は、意外な結末にびっくりしただろうな…。

ちょっとコミカルなアンディがリードしていた1幕に対して、2幕はメリッサが前面に。いい子すぎるアンディに文句つけながらも、お姉さんのように彼を見守ってきたメリッサが、だんだん精神に破綻をきたして、アンディに救いを求めるようになります。

彼の奥さんの名前を、わざわざまわりくどく口に出すシーンは胸に迫りました。「ちょっと待って、いま黒い手帳を繰って探してるから…… ああ、『ジェイン』…、ジェインね… ジェインとふたり、お幸せにね……」。アンディに妻がいるのを認めるのはつらい、だけど彼の幸せを願いたいとも思う。嫉妬と思いやりが入り混じった感情は、矛盾しているけど、どちらも真実なのです。分かるような。

過去に見た公演ではいずれも、50歳を過ぎた二人が初めて結ばれるあたりが、ひとつの山になっていました。互いに気持ちが加速していって、その後ゆっくり余韻にひたっている様子が、どのカップルでも感じられたと思います。だけど野沢×池田の二人は、そのへん、比較的あっさり通り過ぎていきました。

わたしが見せ場だと思ったのは、違う場面です。病院に入ったメリッサから音信が途絶えたアンディ。「手紙は届いていますか」「返事をください」と訴える野沢さんの悲痛な声が、ぐさりと刺さりました。上院議員という名誉ある地位も幸せな家庭も大切にしているアンディだけど、メリッサなしでは生きていくことができない。その存在の大きさに気づいたアンディが心の底から彼女を求める叫びを、強く強く感じることができて泣けたな。

アンディが最後に書いた手紙の中で、「わたしの人生に、巨大な裂け目が生じてしまったのです…」という一文があります。「裂け目」という言葉が、これほど暗く鋭く響いたことはありませんでした。目の前にクレバスがぱっくりと口を開けている絵が、脳裏に浮かんだほどです。メリッサを失った影響がアンディにとってどれほど深刻なものであったか、「裂け目」という響きが伝えています。

愛情とか友情とか家族とかという言葉では表しきれない存在。かけがえのない相手。アンディとメリッサの関係が、またいっそう深く感じられた公演でした。


過去の記事
『LOVE LETTERS』 岡田浩暉 × 彩輝 直
『LOVE LETTERS』 貴水博之×土居裕子
『LOVE LETTERS』 西島千博×篠原ともえ
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by redandblackextra | 2006-08-04 00:55 | 舞台にまつわる話

観劇と読書が好き。いや、ほかにもあるかな。当面の間は、ぼちぼちマイペースで更新します。
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